スティーブン・レヴィットは、
「経済学は、突きつめると
インセンティブの学問だ」という。
「インセンティブは、
人にもっとよいことをさせ
もっと悪いことを
させないための方法」だとも言う。
そして、このインセンティブには、
経済的、社会的、道徳的の3つの
味付けがあるという。

今まで、教員の質は
社会的、道徳的インセンティブに
支えられてきた。
でもいよいよ経済的インセンティブが
加わるようだ。
評価によって
教員の給与を80〜120%の幅で
差をつけていくという話が
教育再生会議で持ち上がっている。

息子の塾探しで、最近
塾を5箇所ほど巡ってみたのだけれど
驚くほど塾の先生の質は高い。
それは授業のおもしろさや、
児童の理解を促す力といった
学習面だけではなく
議論の中でついつい私語をしてしまう
児童への指導や、口の利き方、
生活指導といった細部にいたるまで
行き届いている。
ふざけや、親愛の情を示す児童の言動にも
その心を計って、
対処してくれていたりもする。
どうしてこれほどの質を保てるのだろうかと
不思議に思うほどである。

もちろん塾の内部で
先生同士の連携が効率的に(合理的に?)
なされている結果でもあると思う。
でも確かによい人材が塾に
集まるようになったということも
いえるのではいか。
最近では、新卒で、高学歴な学生が
希望の就職先として「塾」を
あげている。
塾の先生という職業に
なにがしかのインセンティブが
働いているのに違いない。
それは、経済的インセンティブである
可能性が高い。

っていうことは、
この教育再生会議の方針は
歓迎すべきものかもしれない。
でもインセンティブ。
実は慎重に取り扱う必要がある。

日本でも統一テストがされるそうだが、
スティーブン・レヴィットは、
シカゴ教育委員会が1996年に導入した、
結果によっては学校の閉鎖、教員のクビ…
といった厳しい査定を含んだ
一発勝負のテストについて
詳しく調べた。
実は、こうしたテストが
先生にインチキをさせるという
インセンティブをもたらすのではと
疑ったのだ。
経済学は、人々が
あるインセンティブにどう反応するのかを
図る統計的手法を取り揃えている。
で、結局シカゴ全体のデータから、
1年間に200クラスの先生がインチキを
したという結果になった。
(「ヤバい経済学」東洋経済新報社より )

テストの件はさておき、
教員の給与80〜120%が
どのようなインセンティブとして
働くのか。
(実は結構疑問である。
塾に比べて、評価によって
もたらされるお金が
しょぼいと思うのは
私だけ?)
教育再生会議に
スティーブン・レヴィットが
加わったほうが
いいかもしれない。