今日の新聞は、比較して読む、いい教材になります。
次の二つは、いずれも税制大綱決定を受けて報じたものです。

朝日新聞
「家計圧迫、企業は支援 軽減税率導入判断を先送り 法人向けは減税中心 税制大綱決定」
日本経済新聞
「法人税制改革、足踏み
大綱決定、実効税率「引き続き検討」 増税と成長、両立課題」

前者は会社ばかり優遇してけしからん!というスタンスの記事です。
一方、後者はそれと対照的に、
法人税の改革が不十分じゃないか、けしからん!というものです。

面白いですね。

横浜国立大学の高橋 弘司先生は、
授業について紹介する中で、このようなことを言われています。
「ジャーナリスティックな「ものの見方」を身につける効果的な方法は、
日々の新聞を深く読み込むことです。
できれば複数の新聞を読み比べ、
異なる「ものの見方」や「視点」があることを知ることです。」
http://hs.ynu.ac.jp/education/studios/2013/08/


こうした異なる「ものの見方」や「視点」があることを
知ることはとても大切です。
でもそれは、ジャーナリストといった
特定の職業にある人にとってだけではありません。

治安維持法によって捕えられ、獄中死した哲学者・戸坂潤氏は、
次のように言っています。
「元来から云うと、一切の人間が、
その人間的資格に於いてジャーナリストでなくてはならぬ。
人間が社会的動物だということは、この意味に於いては、
人間がジャーナリスト的存在だということである」

自分とは異なる「ものの見方」や「視点」に対して、
非常に感情的に攻撃したり、
やれ右だ左だと色付けしてみたり、
時にはクールに(?)「違和感がある」という主観的な言葉で
切って捨ててしまったりでは、議論になりません。
正しい議論を行い、民主主義を起動させていくには、
こうした感情論で自己主張することや、
自己の見方にとらわれた視野の狭い考え方から脱却しなくてはいけません。
異なる「ものの見方」や「視点」をいたずらに排除することなく、
しっかりそれらの論拠を正し、吟味していくことが必要だと思います。

今日の新聞は、そうした姿勢を養うための絶好の教材です。

そもそも法人税とはなにか。

法人税を減税することで、企業は本当に活性化するのか。
※約7割の企業はそもそも法人税を払っていません^_^;
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL130MV_T10C13A9000000/

どのような企業が恩恵を受けるのか。

アメリカの法人税が高いのに問題にならないのはなぜか。
※米コロンビア大のジュセフ・スティグリッツ教授は、
「企業は法人税を負担していないという点で、
経済学者の意見は一致している。
それは、企業は人件費や製品価格を調整し、
法人税の多くを価格に転嫁しているとみているからだ。
米国の法人税負担の70%程度は
労働者に帰着するという米議会予算局の試算もある」と述べています。(「公共経済学」より)
こうした考え方を共有しているから、アメリカでは問題にならないのですね!!

さらに、そのイデオロギー的な背景も見えてくることもあるでしょう。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/10/08/fujii-58/
【藤井聡】新自由主義は「消費税増税+法人税減税」を望む

こうして調べていくと、新聞の比較をきかっけに
経済の仕組みだけでなく、経済史や経済思想も学べます。
そしてさらには、こうした知識をもとに、
きちんとした論拠をもって議論することを学ぶことができます。

なんとなく企業が活性化すれば、景気がよくなり、
みんなが幸せになるのに…という短絡的な考えや、
自由で急進的な考えができる自分が好き…!という自己愛的考えや、
いやいや儲ける企業は諸悪の根源だ!という根拠のない考えでは、
戸坂氏に「人間的資格」を問われてしまいます!!

というわけで、今日の新聞は要チェック。
中学3年生にもなれば公民を学んでいますから
一緒に知の旅に出ることもできるかもしれません(*^_^*)